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名古屋高等裁判所 昭和24年(控)1681号 判決 1950年3月02日

被告人

落合繁一

主文

原判決を破棄する。

本件を岐阜地方裁判所大垣支部に差戻す。

理由

弁護人野田底司の控訴趣意について。

(前略)原審第四回公判調書中証人土田利之の供述記載に依れば同人の証言は同人が大垣市警察署巡査部長として勤務中本件に関し被告人等を取調べた際に於ける被告人等の供述を其内容とするものであつて明に刑事訴訟法第三百二十四条第一項所定の被告人以外の者の公判期日に於ける供述に該当するものであるから原審に於ては須く同条所定の要件を審査し其証拠能力を確めた後でなければ採つて以て断罪の資料と為すべきものではないに拘らず右の審査を遺脱したことは原審公判調書の記載を通じて寔に明である。

依つて按ずるに綜合認定をした証拠中重要な部分を占める部分が証拠能力の無い場合に於ては爾余の証拠の信憑力に影響するものと謂うべく、従つて判決にも亦影響を来す筋合のものであるから此点に於て原判決は判決に影響を及ぼすべき採証法則並に理由不備の違法ありと謂わなければならない。

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